置かれた場所で咲きなさい。〜ラインホルト・ニーバー〜

 この言葉は、「配属された場所で、全力を尽くして幸せになりましょう。それが私たちにできる唯一かつ最善の方法です」ーーこのように解釈されて、会社や公務員の研修で好んで使われています。私の経験から、組織の中で働く人の心構えとしては、実に的を得ています。自分で配属先を決めれる人は稀です。
 とすれば、現在の所属場所で知識・経験・人脈を得るのが賢明です。そのことが人間の成長に繋がります。そこでしか得られない貴重なものもたくさんある筈です。隣の芝生が綺麗に見えて、そこにある価値あるものに気づかないことはよくあります。

 ところで、「置かれた場所で咲きなさい」は、2012年に発行され、大ベストセラーとなった渡辺和子さんの本のタイトルです。何となく気になるタイトルですね。本の内容は、タイトルから想像される通りで、ストンと腹落ちする人生の応援歌です。より良く生きるためのヒント、あるいは悩んだ時の処方箋が分かりやすく書かれてます。このタイトルはラインホルト・ニーバーさん(米国の神学者)の詩の一節〜Bloom where Got has planted you~の日本語訳です。渡辺さんが仕事や人間関係で苦しんでいる時に、ある神父さんがこの詩を紹介したそうです。

 私はこの詩の中ほどにある~God has planted you in a special place~の部分が詩全体の核心ではないか、と思っています。in a special placeーー神様はあなたをわざわざそこに置いたのだ。そこに貴方が居ること自体に意味があるーーそう解釈したいと思います。この考え方は、浄土真宗の「他力本願」に通ずるところがあると考えています。
 

 キリスト教のことはよく分かりません。仏教のこともよく分かりません。しかし、宗教の匂いのする書籍(著者が宗教家あるいは宗教をテーマにしたもの)を読んで感じるのは、「本当に大切なものは貴方の身近にあります。そのことに気づいていないだけ」というメッセージが世界共通だということです。
 禅語(禅の教えを短い言葉に凝縮したもの)の『松樹千年の翠」(普段は気づかないけれど、雪景色になって松の緑のありがたさに気づく。価値あるもの、大切なものは、身近にありますよ)は、まさにその代表格です。